薬物動態

血中濃度1)

単回投与(維持血液透析下のSHPT患者)

単回静脈内投与時の血漿中未変化体濃度の推移は下図の通りであった。投与66時間後に血液透析を行った結果、透析直後(70h)の血漿中未変化体濃度は透析直前(66h)の値より78.40~100%低下した。

血漿中未変化体濃度の推移(単回静脈内投与)
図:血漿中未変化体濃度の推移(単回静脈内投与)
対象

維持血液透析下のSHPT患者29例(4又は5例/群)

方法

ウパシカルセトナトリウム25、50、100、200、400、600及び800μgを透析後2時間以上4時間以内にゆっくりと60秒以内で静脈内に単回投与し、血漿中薬物濃度推移を検討した。なお、用量別に7stepに分け、step毎に安全性を確認しながら逐次増量した。

評価項目

未変化体の血漿中濃度 等

解析方法

血漿中濃度について、各投与群における時点毎の平均値及び標準偏差を算出した。また、各投与群の片対数スケールの推移図を作成した。

反復投与(維持血液透析下のSHPT患者)

反復静脈内投与時の血漿中未変化体濃度の推移は下図の通りであった。3週間の反復投与において、血漿中には主に未変化体として存在し、反復投与によって透析前の血漿中トラフ濃度は上昇しないことが示された。

血漿中未変化体濃度の推移(反復静脈内投与)
図:血漿中未変化体濃度の推移(反復静脈内投与)
対象

維持血液透析下のSHPT患者26例(8又は10例/群)

方法

ウパシカルセトナトリウム50、100及び200μgを週3回、22日間(計9回投与)、血液透析終了直前に透析回路静脈側に注入(静注)し、血漿中薬物濃度推移を検討した。

評価項目

未変化体の血漿中濃度 等

解析方法

血漿中濃度の3日目以降の透析前濃度について、各投与群における時点毎の平均値及び標準偏差を算出した。また、各投与群の片対数スケールのプロットを作成した。

6. 用法及び用量

通常、成人には、ウパシカルセトナトリウムとして1回25μgを開始用量とし、週3回、透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入する。血清カルシウム濃度に応じて開始用量を1回50μgとすることができる。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回25~300μgの範囲内で適宜用量を調整する。

  • 1)社内資料:第Ⅰ/Ⅱ相試験-維持血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象とした単回及び反復静脈内投与試験-(承認時評価資料)

分布

(1)組織分布(ラット)2)

雌雄ラットに[14C]ウパシカルセトナトリウムを1mg/kgの用量で単回静脈内投与し、投与後5分、1、3、6、24、48及び72時間の各組織中放射能濃度を測定した。

雄性ラットでは、測定対象とした組織のうち、精嚢、前立腺及び膀胱において放射能濃度は投与後1時間に最高濃度を示し、それ以外の組織においては投与後5分に最高濃度を示した。投与後5分の放射能濃度は、腎臓、腎皮質及び腎髄質が高く、次いで膀胱及び肝臓が高かった。投与後1時間の放射能濃度は、腎臓、腎皮質及び腎髄質が高く、次いで膀胱、肝臓及び前立腺が高かった。血漿中放射能が経時的に消失するのに伴い、組織中放射能も減少し、投与後72時間の組織中放射能は、検出されないか又は最高濃度の0.5%以下となった。

雌性ラットでは、すべての組織中放射能濃度は投与後5分に最高濃度を示した。投与後5分の放射能濃度は、腎臓、腎皮質及び腎髄質が高く、次いで膀胱及び肝臓が高かった。投与後1時間の放射能濃度は、腎臓、腎皮質及び腎髄質が高く、次いで肝臓及び膀胱が高かった。血漿中放射能が経時的に消失するのに伴い、組織中放射能も減少し、投与後72時間の組織中放射能は、検出されないか又は最高濃度の0.5%以下となった。

また、雌雄の生殖器への特異的な分布はなく、その他の組織への分布に性差は認められなかった。

(2)乳汁中への移行性(ラット)3)

授乳中ラットに[14C]ウパシカルセトナトリウムを1mg/kgで単回静脈内投与し、血漿及び乳汁中放射能濃度を測定した。血漿中放射能は投与後速やかに消失し、C0は5740ng eq./mL、t1/2は0.892時間、AUC0-∞は3310ng eq.·h/mLであった。乳汁中放射能は、投与後2時間に最高濃度(157ng eq./mL)を示し、t1/2は4.14時間、AUC0-∞は1010 ng eq.·h/mLであった。AUC0-∞の乳汁/血漿比は約0.3と低値であったが、ウパシカルセトナトリウム由来物質が乳汁中へ移行することが示された。

(3)ヒト血漿タンパク結合率(in vitro4)

ヒト(健康成人男性)の血漿並びにヒト血漿タンパク画分(HSA及びα1-AGP)を用いて、[14C]ウパシカルセトナトリウムのタンパク結合率を平衡透析法にて評価した。ヒト血漿タンパク結合率は、0.01~10μg/mLの範囲において44.2~45.6%であった。また、同濃度範囲において、HSA及びヒトα1-AGPに対する結合率は、それぞれ39.6~41.1%及び0.9~1.6%であった。

(4)赤血球移行率(in vitro5)

ヒト(健康成人男性)の血液を用いて[14C]ウパシカルセトナトリウムの赤血球移行率を評価した。0.01~10μg/mLの範囲における赤血球移行率は、5.5~9.0%であった。

  • 2)社内資料:組織分布(アルビノラット)(承認時評価資料)
  • 3)社内資料:ラットにおける乳汁移行性の検討(承認時評価資料)
  • 4)社内資料:血漿タンパク結合(in vitro)(承認時評価資料)
  • 5)社内資料:血球移行性(in vitro)(承認時評価資料)

代謝

(1)in vitro、ラット、イヌ6)

ラット、イヌ及びヒト肝細胞におけるin vitroとラット及びイヌにおけるin vivo代謝試験の結果、ウパシカルセトナトリウムの主な代謝物は、アセチル抱合体(M1)、グルタミン酸抱合体(M2)、酸化的脱アミノ化体(M3)と推定された。

(2)維持血液透析下のSHPT患者1)

維持血液透析下のSHPT患者(n=4又は5/群)に対して、ウパシカルセトナトリウム25、50、100、200、400、600及び800μgを単回静脈内投与したとき、血漿中には総曝露量の90%以上が未変化体として存在した。M1の血漿中濃度はいずれの用量においても定量下限未満であり、M2は総曝露量の0.8%以下、M3は総曝露量の5.8%以下であった。

推定代謝経路6)
図:推定代謝経路

6. 用法及び用量

通常、成人には、ウパシカルセトナトリウムとして1回25μgを開始用量とし、週3回、透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入する。血清カルシウム濃度に応じて開始用量を1回50μgとすることができる。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回25~300μgの範囲内で適宜用量を調整する。

  • 1)社内資料:第Ⅰ/Ⅱ相試験-維持血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象とした単回及び反復静脈内投与試験-(承認時評価資料)
  • 6)社内資料:薬物動態試験(代謝)(承認時評価資料)

排泄

(1)健康成人7)

健康成人男性(n=6/群)にウパシカルセトナトリウム10、100、1000及び2500μgを単回静脈内投与して投与後48時間までのウパシカルセトナトリウムの尿中排泄率を検討した。投与後48時間までの未変化体の尿中排泄率(平均値±SD)は、10μg群で78.9±3.1%、100μg群で83.2±1.7%、1000μg群で95.0±18.6%、2500μg群で88.4±11.4%であった。代謝物は1000μg群及び2500μg群でM3のみがわずかに検出された。

(2)維持血液透析下のSHPT患者1)

維持血液透析下のSHPT患者(n=4又は5/群)にウパシカルセトナトリウム25〜800μgを単回静脈内投与し、ウパシカルセトナトリウムの透析除去率を検討した。血漿中の未変化体の透析除去率(平均値)は、78.40〜100%であった。透析終了後の血漿中代謝物M2及びM3の透析除去率はそれぞれ100%及び70.53~100%であった。

(3)ラット8)

雄性ラット(n=3)に[14C]ウパシカルセトナトリウムを10mg/kgの用量で単回静脈内投与したときの放射能の尿、糞及び呼気中排泄率を検討した。投与後168時間(呼気は48時間)までの尿、糞及び呼気中累積排泄率は、それぞれ投与量の89.6%、6.4%及び0.0%であり、主排泄経路は腎臓であった。

6. 用法及び用量

通常、成人には、ウパシカルセトナトリウムとして1回25μgを開始用量とし、週3回、透析終了時の返血時に透析回路静脈側に注入する。血清カルシウム濃度に応じて開始用量を1回50μgとすることができる。以後は、患者の副甲状腺ホルモン(PTH)及び血清カルシウム濃度の十分な観察のもと、1回25~300μgの範囲内で適宜用量を調整する。

  • 1)社内資料:第Ⅰ/Ⅱ相試験-維持血液透析下の二次性副甲状腺機能亢進症患者を対象とした単回及び反復静脈内投与試験-(承認時評価資料)
  • 7)社内資料:第Ⅰ相試験-健康成人男性を対象とした単回投与試験-(承認時評価資料)
  • 8)社内資料:尿糞及び呼気中排泄(承認時評価資料)

薬物相互作用(in vitro9)

ウパシカルセトナトリウムの薬物相互作用について、肝薬物代謝酵素に対する阻害作用・誘導作用、各種トランスポーターに対する阻害作用を検討した。

<肝薬物代謝酵素に対する阻害作用>

ウパシカルセトナトリウム(100μg/mL、遊離体換算)が主要な肝薬物代謝酵素(CYP1A2、CYP2B6、CYP2C8、CYP2C9、CYP2C19、CYP2D6、CYP2E1、CYP3A、UGT1A1及びUGT2B7)の各典型基質の代謝に与える影響について、ヒト肝ミクロソームを用いて検討した。評価したすべての分子種に対するウパシカルセトナトリウムの可逆的阻害はIC50>100μg/mLであった。また、ウパシカルセトナトリウムは評価したすべてのCYP分子種に対する時間依存的阻害作用を示さなかった。

<肝薬物代謝酵素に対する誘導作用>

ウパシカルセトナトリウム(0.1、1、5μg/mL、遊離体換算)を曝露したときのCYP1A2、CYP2B6及びCYP3A4の酵素誘導能について、ヒト肝細胞を用いmRNA発現量を指標として検討した。ウパシカルセトナトリウムは5μg/mLまでいずれのCYP分子種に対しても誘導率が1.46以下(対溶媒対照群)であり、誘導作用を示さなかった。

<各種トランスポーターに対する基質性>

各種トランスポーター(MDR1及びBCRP)に対する[14C]ウパシカルセトナトリウム(1及び5μg/mL、遊離体換算)の基質認識性について、トランスポーター発現細胞を用いてNet ERを算出し検討した。[14C]ウパシカルセトナトリウムのNet ERはMDR1で1.27以下、BCRPで1.05以下であり、いずれも基質ではないことが示された。

<各種トランスポーターに対する阻害作用>

各種トランスポーター(MDR1、BCRP、OATP1B1、OATP1B3、OAT1、OAT3、OCT2、MATE1及びMATE2-K)を介した各典型基質の輸送に対するウパシカルセトナトリウム(0.1、0.5、1、2及び5μg/mL、遊離体換算)の阻害作用について、トランスポーター発現細胞を用いて検討した。ウパシカルセトナトリウムは5μg/mLまでいずれのトランスポーターに対しても阻害活性を示さなかった(IC50>5μg/mL)。

  • 9)社内資料:薬物動態学的薬物相互作用(承認時評価資料)